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上級へのとびら:コンテンツとマルチメディアで学ぶ日本語 TOBIRA Gateway to Advanced Japanese Learning Through Content and Multimedia [本(日本語学習]

『上級へのとびら』
岡まゆみ(日本語教師)
くろしお出版 (2009)


今、日本語教師養成講座を受講中で、
そこで使っているテキストの一つがこれ。
気になる点を挙げる。


p137
 図1の円グラフは文化庁が2008年に行った日本の宗教人口についての調査結果を表したものです。これによると、日本の信者数は二億千百万人で、日本の全人口の約2倍となっています。この調査から、日本人の中には一つ以上の宗教を信じている人がたくさんいるということが分かります。
 また、信者数ですが、まず神道系が50%で半分ぐらい、次に仏教系が44%で、キリスト教系の信者1%ぐらいです。その他の宗教の信者数の割合は5%となっています。この結果から、神道と仏教を同時に信じている人が多いだろうということが考えられます。
 私のこの円グラフには、神様は一人だけではないという日本人の宗教的意識がよく表れていると思います。


筆者モニカさんは「以上」の意味を、その数値を含まないと誤解している可能性が高い。英語の「more than」と日本語の「以上」は全く同じ意味だと思っているのだ。

「日本の信者数は二億千百万人で、日本の全人口の約2倍」
 すなわち、一人一つの宗教を信じたのでは足りない。
 数値からは一人平均二つの宗教を信じているとわかる。
 この状況では2という数値が頭に浮かんでいるはずで、この状況から浮かぶ自然な言葉は「二つ以上」である。
 にもかかわらず「一つ以上」と表現したのは、「二つ以上は2を含まないから言い過ぎで、一つ以上なら一つを含まない」と考えたからと推測できる。
 英語で「以上」に相当する一般的な表現は、「more than」であるが、この表現はその数値を含まない。「more than 2」と言えば、「3つ以上」を意味する。モニカさんは、2を含めたかったので、「more than 1」と考え、「1つ以上」と表現したのであろう。

この問題は論理的な問題ではない。論理的にはモニカさんの理解は誤りである。

理由1
 「一つ以上」は一つを含む表現である。ゆえに、ある国でたくさんの人が一つの宗教だけを信じている場合も、「一つ以上の宗教を信じている人がたくさんいる」といえる。すなわち、世界中のほとんどすべての国は、「一つ以上の宗教を信じている人がたくさんいる」国である。
 「~ことが分かります。」という表現は、判明するという意味であり、「新知識の獲得」を意味する。「世界中のほとんどの国は、一つ以上の宗教を信じている人がたくさんいる」ことは、世界共通の事実であるため、新知識とみなすには不自然である。
 モニカさんは事実を確認したのだ、と見るのも不自然である。事実の確認と理解した場合、モニカさんは「日本もまた、一つ以上の宗教を信じている人がたくさんいる平均的な国である」と理解したことになるが、後半の文章にそぐわない。

理由2
 極論的な例として、ある一人が二億千百万種類の宗教を信じ、その他の人はすべて無信仰であった場合も「日本の信者数は二億千百万人」となる。この場合「日本人の中には一つ以上の宗教を信じている人がたくさんいる」という言葉は誤りである。
 すなわち、論理学的には、この情報からは「日本人の中には一つ以上の宗教を信じている人がたくさんいるということ」は分からないのである。もちろん「日本人の中には二つ以上の宗教を信じている人がたくさんいるということ」も分からない。ゆえに、モニカさんは論理的に推論して述べたのでもないのである。

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