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ヨーロッパ史における戦争(中公文庫) [本(軍事]

『ヨーロッパ史における戦争』
マイケル・ハワード(戦争研究、戦略研究者)
中公文庫(2010)


原題:War in European History 2009

ヨーロッパの起源は戦争という鉄床の上でたたき出されたのだ。
1 The origins of Europe were hammered out on the anvil of war.

しかも八世紀に鐙がフランク族の間で一般に用いられるようになると、馬は機動性のためばかりでなく戦闘のためにも使われるようになった。
And once the stirrup came into general use among the Franks, in the eighth century, the horse could be not simply for mobility but for fighting.

一人の騎士とは六人程度の槍騎兵のチーム

シャルル八世。初の近代的陸軍。
騎兵、歩兵、砲兵。国庫から支払われる俸給

大砲は中世の城の役割を終わらせた

スイスの国営産業としての戦争
金がなければスイス人はいない
今や、戦争の術全体が金銭に還元できる。
支払う資源がないとき。私掠免許状の発行

すべての兵種から成る自律的師団

十二万のフランス軍が二ヶ月行軍の距離を鉄道で十一日間で移動

19世紀のライフル銃の出現
迫撃砲と機関銃と手榴弾で武装した第一次大戦のドイツ突撃隊

アルジェリアはフランスの植民地ではなく
国内行政の一部門として統合されていた

ハワードの確信。平和は戦争によってもたらされる

☆☆☆☆☆
難易度3/5 推薦度3/5

戦争の社会、経済、技術史。

なるほど、法的に言えば、
日本と朝鮮の関係とフランスとアルジェリアの関係は
そっくりなんだな。

・今日の一言(本文より)
by the beginning of the ninth century specie was rare in Europe and land the only source of wealth.
九世紀の初めまでにヨーロッパでは、貨幣は稀となり、土地が唯一の富の源となった。
9세기 초까지는 유럽에서 화폐는 드물어지고 땅이 유일한 부의 원천이 됐다.
到9世纪初的欧洲,货币成为稀罕物,土地是唯一的财富来源。

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文明と戦争(下) [本(軍事]

『文明と戦争(下)』
アザー・ガット(軍事史、戦争戦略研究)
中央公論新社(2012)


封建制は騎馬が生んだ

鐙が騎兵の能力を高めたことは議論の余地がない。

ガリア戦記での戦車の戦い方。
戦車戦死は敵の列に突っ込むと
戦車から飛び降りで徒歩で戦う。
その間御者は戦車を後方に避難させる

ヨーロッパ発展の決定的要因。海軍の砲撃力

馬兵封建制以外の封建制は歴史上存在しない。
there was no feudalism other than horse feudalism.

(チンギス・ハン)男子が知りうる最大の快楽は、敵を打ち倒して足下にひざまずかせることである。敵の馬になり敵の財産を奪い去ることである。敵の愛する者たちの顔を涙に濡らし、その妻や娘たちを腕にかき抱くことである。
The greatest joy a man can know is to conquer his enemies and drive them before him. To ride their horses and take away their possessions. To see the faces of those who were dear to them bedewed with tears, and to clasp their wives and daughters in his arms.

(ドーキンス)何という武器であろうか。軍事技術年鑑には、宗教的な信仰について一章がさかれて当然である。
What a weapon! Religious faith deserves a chapter to itself in the annals of war technology.

(トマス・フリードマン)マクドナルドの店舗を持つ国同士は戦争を決してしない。
two countries that have McDonald's fast food restaurants will never go to war against each other.

☆☆☆☆☆
難易度4/5 推薦度3/5

重騎兵の攻撃。紀元前925年。鐙に注目(相手側には備わっていない)
Charging heavy cavalry c.925. Note their stirrups (not available to the opposing formation)
これって、紀元後の間違いじゃないかな?

・今日の一言(本文より)
In a brilliant article, historian of technology Lynn White has argued that, by stabilizing the horseman on his mount, the stirrups made possible enhanced shock tactics with lance locked under the rider's arm, rendering cavalry that much more effective.
技術史家リン・ホワイトが、その優れた研究において、鐙によって騎手を馬上で安定させることができるようになったことにより、騎手は槍を抱えたまま敵に突撃できるようになり、騎兵はより有効な戦力になったと主張している。
기술 역사가 린 화이트가 그 뛰어난 연구에서 "기수는 등자에 의해 말 위에서 안정적으로 탈 수 있게 되었기 때문에 기수는 창을 안은 채 적에게 돌격할 수 있게 되고, 기병은 더 유효한 전력이 되었다"고 주장하고 있다.
林怀特在他优秀的研究里指出,马镫让骑手安定在马上,骑手抱着一只枪就能突击敌人,骑兵变成了更有效的战力。

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文明と戦争(上) [本(軍事]

『文明と戦争(上)』
アザー・ガット(軍事史、戦争戦略研究)
中央公論新社(2012)


原題:War in Human Civilization  

第二次世界大戦ですら未開社会の死亡率より低い。
旧石器時代の40%以上の遺体が
石の飛び道具で命を落としていた。
狩猟への依存度が高ければ高いほど、
戦争の頻度が高まる。

男性の腕力は女性の平均二倍。

紀元前3000~4000年の頃は馬は騎乗した。
それから戦車そして騎馬に戻る。

なぜ人類は致死的かつ破壊的な活動である戦闘を行うのであろうか。
Why do people engage in the deadly and destructive activity of fighting?

ローレンツの主張とは対照的に、同種間の殺害は一般的なものであることが発見され、また動物の死の最も多い原因の一つであることが明らかにされた。
In contrast to Lorenz's claim, intraspecific killing has been found to be the norm and one of the main causes of animal mortality.

人類の同種間の殺害の割合は、その他の動物と同様か、場合によっては大きく下回るという。
Leading authorities have estimated that the rate of intraspecific killing among humans is similar and in some cases greatly inferior to that of other animal species.

(ヤノマミ族の男)我々は肉も好きだが、女の方がもっと好きだ。
Even though we like meat, we like women a whole lot more.

男性の場合、脂肪は体重の約15%を占めるに過ぎないが、女性の場合は27%にもなる。
Fat comprises only 15 percent of their body weight, compared with 27 percent in women.

(北欧において)全労働人口の半数が、それぞれの性別が被雇用者の90%を占めるような職業に就いているのである。
Half of all workers are in jobs where their own sex accounts for 90 percent of employees

(ヤノマミ族の男)戦争には疲れた。もう人を殺したくない。でも、連中は裏切り者で信用できない。
We are tired of fighting. We don't want to kill anymore. But the others are treacherous and cannot be trusted.

これらは全て、人間の成人の間での暴力での死亡率は、自然状態ではおよそ15%程度になることを示唆している。
All this suggests that average human violent mortality rates among adults in the state of nature may have been in the order of 15 percent.

☆☆☆☆☆
難易度4/5 推薦度3/5

人間の自然状態はホッブスかルソーか。
ホッブスだったようだ。
前半は戦争の理論。

・今日の一言(本文より)
resulting in very high homicide rates among most hunter-gatherer peoples, much higher than in any modern industrial society.
(未開社会)彼らの社会における殺人率は、致命的な大規模戦争に関わる産業社会の殺人率より高かった。
그들의 사회에서의 살인율은 치명적인 대규모 전쟁이 있는 산업사회의 살인율보다 높았다.
未开化社会的杀人率,比致命性大规模战争的产业社会还高。

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日本軍と日本兵:米軍報告書は語る(講談社現代新書) [本(軍事]

『日本軍と日本兵』
一ノ瀬俊也(日本近現代史)
講談社現代新書(2014)


米軍が太平洋戦争において日本兵をどのように認識していたかを解説する。

日本兵は中国兵の勇敢さを評価していた。長刀だけで突撃してきた中国兵。中国軍の戦いぶりを賞賛した日本兵。武器の差が致命的だったようだ。

日本兵と中国兵の区別。日本人はLの発音ができず中国人はRの発音ができない。平均的日本兵は身長が161.3cmで、体重は52.6~54.4kg。現代より相当に小柄。日本人は中国人に比べ、胴長で手足が短く、毛深く、歯が貧弱。相手の顔を見ると中国人は微笑むが日本人はしかめ面になるという。

中国では中国人の服装をした日本兵、便衣兵がはびこっている。便衣兵は決して中国兵だけがやったのではないのだ。

面白い点は、日本兵は銃剣の使い方が下手らしく、日本の銃剣術は単純な突きばかりだと評価されている。白兵戦に弱いのが日本兵。

都会の日本兵は親米だそうだ。兵士はどこの国でも田舎者がよいらしい。鬼畜米英も1944年から広まった。そう言えばイラン人も一人一人はアメリカが好きだって言うしね。

1937-43に脱走降伏事件は152件。これは少ないのか多いのか。

ほとんどの兵士が飢餓と脚気で死んだココダ道作戦。3000人中50人生存。戦闘で倒れたものはわずか

退却時に味方重傷者を殺害する日本軍。日本兵は捕虜になると命を助けてもらった借りを返そうと軍事情報を喋ってしまうから。

日本軍狙撃兵は木に体を縛り付けていた。敵が射殺された後も、敵が死体を銃撃して弾薬を浪費するためという。合理的過ぎてある意味恐ろしい考えだ。

・今日の一言(本文より)
とるに足らない敵などない。
There is no little enemy.
작은 적이란 것은 없다.
世上无小敌。

タグ:一ノ瀬俊也
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戦争論〈新装版〉:われわれの内にひそむ女神ベローナ(りぶらりあ選書) [本(軍事]

『戦争論〈新装版〉:われわれの内にひそむ女神ベローナ』
ロジェ・カイヨワ(社会学)
法政大学出版局(2013)


原題:Bellone 1963

国家と軍隊とを一体化しようとする傾向は、
国民戦争を生む一方、平等で全体主義的な国民を生む結果となった。

不平等で保守的な世界では戦争は限定され流血の少ない儀式となる
権利も平等で平等に仕事に参与する場合、無制限な大量殺戮戦となる
戦争が権力の集中を助長する

イスラムとは征服を意味している。
司馬法には逃げる者を百歩以上追わぬという規則がある

風車が封建社会をつくり、
蒸気機関を用いた製粉機が資本主義社会をつくった。
共産党宣言

臼砲なくして王朝勢力が確立し得たかどうか疑わしい
大砲が封建諸侯の城塞をおもいのままに打ち破った
かつて歩兵は武器を持った従僕にすぎなかった
戦争は祭り同様に人間の本性に由来

☆☆☆☆☆
前半は貴族的遊戯的な中世の戦争から歩兵による国民全面戦争への転換の解説。
後半は戦争の哲学。思想家たちの戦争論。

春秋時代の中国と中世からフランス革命までの西欧の戦争の類似。
戦争をできるのが貴族のみであったため城を陥落させることができなかった。

・今日の一言(本文より、フーラー)
The musket made the infantryman and the infantryman made the democrat.
マスケット銃が歩兵を生み、歩兵が民主主義者を生んだ。
머스켓 총이 보병을 만들고 보명이 민주주의자를 만든다.
滑膛枪产生了步兵,步兵产生了民主主义者。

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<玉砕>の軍隊、<生還>の軍隊:日米兵士が見た太平洋戦争(講談社学術文庫) [本(軍事]

『<玉砕>の軍隊、<生還>の軍隊:日米兵士が見た太平洋戦争』
河野仁(軍事社会学、歴史社会学)
講談社学術文庫(2013)


米兵は自殺を宗教的な罪と考え、
降伏して捕虜となることは戦死につぐ名誉と考えたが、
日本兵は捕虜となることは不名誉であり
自決を名誉ある戦死と考えた。

戦闘員の戦死行方不明者数万人。
ソ連600、中国150、米国55、
英国40、ドイツ325、日本256

民衆が「権力の中央集権化」を望むかどうかは、
ひとびとが「平等」というものを経験する以前に、
「自由」を享受していたかどうかによる。トクヴィル

自由を享受してきた国は中央集権を嫌う
1863年ニューヨーク市徴兵暴動、死者1200人
志願社会アメリカ
地方分権徴兵制度

日本軍。給与レベルは教育程度と対応
部下たちの気に入らない上官が手榴弾で爆殺される事件。
1969年96回70年209回
軍隊独自のきまりの存在が戦場で人を殺すことを受け入れやすくする
中等教育以上あれば幹部候補生として将校になれる
貴様は農家の一人息子だから絶対に下士官志願はさせない

一ドル欲しさに州兵に
州兵は市民兵であって職業軍人ではない
14歳で18歳と詐称して入隊
真珠湾攻撃によって
それまでばらばらだったアメリカ国民がひとつにまとまった

米軍の兵営は同年兵が主体で古年兵の暴力による制裁はほぼ皆無だった
南部出身者と北部出身者が対立することも。戦地に行くと解消
日本軍の私的制裁も戦地に行くと自然になくなった
米軍にも兵営家族主義

手榴弾は当初七秒後爆発だったため待ちきれず
投げた手榴弾が投げ返されることも。四秒に短縮
銃剣刺殺用の中国人捕虜を放免した士官
白兵突撃は中国軍に有効だった

弾の音で距離がわかる。
ブンブンは15-20m、
ピュンピュン、バチバチは5m、
パーッスパーッスはすぐ近くで自分が狙われている

日米共通の第一次集団の絆、
米軍はヨコの連帯、日本ではタテの連帯が強い

日本軍ほど日記をつける習慣を持った兵士を大量にかかえていた軍隊はない
米軍兵士が日記をつけることは厳禁
偽名を使う降伏した日本兵、
姓名生年月日兵籍番号を正確に申告する米兵捕虜

色覚異常の兵士はカモフラージュされた陣地をいち早く発見する
機関銃の分解と組み立てを目隠しで45秒でできるように訓練
一師団につき38名のナバホ族兵士。暗号話者

拷問惨殺された戦友のための復讐心
自分ならしないこと、
あるいは自分がしたことのないことを部下にさせない。スタナード軍曹

西欧の軍隊なら戦死者が
全兵力の四分の一から三分の一に達すれば降伏するのが常識

終戦間近のフィリピン戦線での組織的投降
日露戦争ではロシア軍捕虜が厚遇され
日本兵捕虜は帰国後も歓迎されて勲章を授けられた
第二次大戦で捕虜になることが禁止だったのは日本軍、ソ連軍、中共軍

戦友同士は親子兄弟以上
戦友会では毎年同じことばっかり話す

日本兵がベストだった
天皇陛下万歳と言って死ぬ者もいるが多くはない

☆☆☆☆☆
日米の兵士の違いを的確に捉えたお薦めの良書。
私的制裁のストレス耐性向上説というがあるが、
これは典型的な認知不協和だろう。

・今日の一言(本文より)
Your soul may belong to God, but your ass belongs to me!
貴様たちの精神は神様のものかもしれんが、貴様たちの身体はこの俺が預かったぞ!
니들의 영혼은 하느님의 것일지 모르겠지만 니들의 몸은 내가 맡았다!
你们的灵魂可能属于上帝,但你们的肉体却属于我。

タグ:河野仁
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米軍が恐れた「卑怯な日本軍」:帝国陸軍戦法マニュアルのすべて [本(軍事]

『米軍が恐れた「卑怯な日本軍」』
一ノ瀬俊也(比較社会文化)
文藝春秋(2012)


ドイツ降伏後、アメリカは
実験経験のない新兵を太平洋戦線に充てていたため、
日本本土決戦になると大量の死傷者が出ると考えられていた。

卑怯な日本軍で日本人をみな同じ顔に描いた

日本軍は命令でのなりすましを行っていた
楠木正成のような作戦

夜襲は難しい、上官の目が届かない

大陸打通作戦での日本軍の便衣兵

どこの国の軍隊であろうが火力で勝る相手には同じような弱者としての戦法で対抗するしかない

一日に48kmを行軍して驚くほど少ない落伍者しか出さない

1870年には弓矢で戦っていた日本軍

米国1.3億人日本1億人

米軍の日本軍兵士観と日本軍の中国軍兵士観は驚くほど似通っている

・今日の一言(本文より)
日本軍は卑怯な手を好む。タフな敵であるが自分自身のために考える方法を知らない。
일본군은 비겁한 수단을 좋아한다. 강인한 적이지만 자기 자신을 위해서 생각하는 방법을 모른다.
日军喜欢卑鄙的手段。虽是顽强的敌人,但不知道为自己考虑的方法。
The Japanese military likes to use dirty methods. It is a tough enemy, but they do not know how to think for themselves.

タグ:一ノ瀬俊也
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皇軍兵士の日常生活(講談社現代新書) [本(軍事]

『皇軍兵士の日常生活/一ノ瀬俊也/講談社現代新書/2009』
著者:日本近現代史、比較社会文化
評価:兵士たちの生活を知る


丸山真男をひっぱたける可能性は低い。
軍隊でも学歴で差がある。

いつ故郷に帰れるかわからないと軍紀は低下する。
希望こそが人を動かすのだ。

階級が上でも年次の古いものには頭が上がらない。
古株の兵士は権力があるのだ。

古年兵の自慢話は民衆の財産や生命を奪う話ばかり。
ほとんど盗賊なのである。

兵士の手紙の検閲は常に厳格とは限らず、
虐殺行為を報告した手紙もある。
ただし結論は敗戦国になるなである。

食料の足らない軍でなぜ残飯が出るのか。
体格の劣るものが食べ残すから。
初年兵が古年兵に遠慮して残すから。
兵士の食料は完全に平等であるためだ。
結果、体が小さかったものが生き延びたという皮肉。

兵士と将校では法律も違う。
兵が食料を盗むと裁判抜きで死刑だが、
将校が自決するかは本人の倫理観次第。

軍隊の組織は相互監視によって成り立っていた。
日本の集団主義の根源である。

・今日の一言
軍隊では階級が上でも年次の古いものには頭が上がらない。
군대에서는 계급이 위라도 연도가 오래된 사람에게는 큰소리를 칠 수 없다.
在军队里,级别再高也敌不过年份老的人。
In the military, if you are higher in rank than a private soldier but you have entered the military later than him, you can't compete with him.

タグ:一ノ瀬俊也

戦場-学んだこと、伝えたいこと [本(軍事]

『戦場-学んだこと、伝えたいこと/長嶺秀雄/並木書房/1997』
著者:陸軍、陸上自衛隊
評価:戦場とはどんなものかを知る


戦場では生死は運である。
東郷平八郎は運がいいので選ばれたという。

ウェーベル元帥の指摘する指揮官の仕事。
糧食と資材を与える、実際感覚があること、親切で厳しいこと。
将軍というのは、こうした事務的な感覚が必要なのだ

馬はたくさん水が必要。
人間は一日2リットルだが、馬は20リットル。
水の補給が難しい。

軍における伝達方法
伝書鳩と鳩兵がいた。
軍用犬の伝令も。有効伝達距離は2km。

荻生徂徠。勇者とは慣れることである。
天性の勇者というより、経験が勇者を作るのだ。

・今日の文中の一言
人生は運、根、鈍の3つの"ん"が大切だ。
The important thing in life is three "ん(N)", "運(luck)", "根(guts)" and "鈍(dull)".
인생은 "運(운,운수)", "根(콘,끈기)", "鈍(돈,둔함)"의 3개의 "ん(ㄴ)"이 중요하다.
人生中最重要的是"运(运气)","根(毅力)","钝(迟钝)"的3个"ん(n)"。

証言沖縄「集団自決」-慶良間諸島で何が起きたか(岩波新書) [本(軍事]

『証言沖縄「集団自決」/謝花直美/岩波新書/2008』
著者:沖縄タイムス編集委員
評価:そのとき何があったのか正しく知る


37人の集団自決の体験を語る本。

皇民化教育は洗脳カルトになってしまいました(地下生活者の手遊び)
を読んでカルトか強制か気になったのでこの本を読みました。

結論は、皇民化教育が人々に死を覚悟させ、
日本軍の命令が死を選択させたということ。

死に方はさまざま。
手榴弾、鉈で斬り、石で殴り、首を絞める。

"今考えると異常な心理としか言いようがない"
と語る人々。
私が手榴弾を投げようかという中尉の提案を断った人。
"兵隊さんこれで私たちの家族を斬ってください"と鉈で頼んだ母親。

集団自決は日本軍の玉砕の論理が住民に押し付けられた結果。
集団自決は日本軍のいない島ではほとんど起こらなかった。

"日本軍は手榴弾を万が一の時に自決せよと村民に配り、
多くの人々がそれに従った"
と書くのが一番客観的な気がする
沖縄の人が嫌がるのは主語のなさだから。

カルトか強制かというと、人それぞれという感じだ。
カルト的に取り憑かれて死んだ人もいるし、
強制されて死んだ人もいる。

・今日の一言(沖縄のことわざ)
慶良間は見いーぃしが、どぅーのまちげは見ぃらん。
灯台もと暗し。
丈八灯台,照远不照近。
You must go into the country to hear what news at London.
등잔 밑이 어둡다.

いくさ物語の世界-中世軍記文学を読む(岩波新書) [本(軍事]

『いくさ物語の世界/日下力/岩波新書/2008』
著者:中世軍軍記文学
評価:どちらかというと原文を読んだことある人向けか


保元物語での為朝へ肩入れした描きかた。
為朝はほとんど化け物みたいだ。

一の谷の合戦の実数。
平家二万から数千、源氏二三千。
小説は相当に誇張される。

老武者齋藤実盛のプライド。
六十を過ぎて戦場に出るならば髪を黒く染める、
なぜなら、若人と先を争うのも大人気ないし、
敵から老武者とあなどられるのも口惜しい。
古武士は自分のために戦うのだ。

・今日の一言
六十を過ぎて戦場に出るならば髪を黒く染める、なぜなら、若人と先を争うのも大人気ないし、敵から老武者とあなどられるのも口惜しい。(齋藤実盛)
When I am more than sixty. I dye my gray hair black, because it's so childish to try to get in first with young samurai, it's regrettable that an enemy looks down on me as an old samurai.(Saito Sanemori)
60을 지나서 전쟁터에 나오면 머리를 검게 염색한다. 왜냐하면, 젊은이와 앞을 다투는 것도 어른답지 못하고, 내가 늙은 무사라고 적이 깔보는 것도 분하다.(사이토 사네모리)
如果年过六十,奔赴战场的话,就把头发染成黑色。因为,和年轻人抢先也有点孩子气,被敌人轻视老武士,也太可惜了。(齋藤実盛)

タグ:岩波新書

人民解放軍は何を考えているのか-軍事ドラマで分析する中国(光文社新書) [本(軍事]

『人民解放軍は何を考えているのか』
本田善彦(台湾在住のフリージャーナリスト)
光文社新書(2008)


中国軍事ドラマの解説書。

アメリカの影響力と小国の悲哀。
「わが国は米国の51番目の州だ」は、
日本だけでなく、台湾や韓国でも言うらしい。

銃口から政権が生まれる。
軍事家の毛沢東言葉。

戦争と訓練。
戦争は血の流れる訓練、訓練は血の流れない戦争。
でも訓練でも意外と血は流れるのが現実。

2004年大陸は男性51.52%、女性48.48%。
ひどい男余りなのだ。

中国の歴史番組《大国崛起》
世界に覇を唱えた大国はオランダ、英国、米国の3つ。
市場経済と資本の蓄積を指摘。
日本近代化のキーパーソンは、
大久保利通、渋沢栄一、伊藤博文らしい。

報道の難しさ。
《大国崛起》は《河殤》の再来として非難も。
《河殤》のテレビシナリオを執筆したライターは、
天安門事件後指名手配され海外へしたとのこと。

・今日の三言
枪杆子里面出政权。(毛泽东)
銃口から政権が生まれる。(毛沢東)
모든 권력은 총구에서 나온다. (모택동)
Political power grows out of the barrel of a gun. (Mao Zedong)

Saving Private Ryan
プライベートライアン(日本)
拯救大兵瑞恩(大陆)
抢救雷恩大兵(台湾)
雷霆救兵(香港)
라이언 일병 구하기(한국)

わが国は米国の51番目の州だ。(韓国人、台湾人、日本人)
Our country is the 51st American state. (Korean, Taiwanese and Japanese).
우리나라는 미국의 51번째의 주다. (한국인, 대만인과 일본인)
我国是美国的第51号州。(韩国人、台湾人和日本人)

タグ:本田善彦

「戦争」の心理学-人間における戦闘のメカニズム [本(軍事]

『「戦争」の心理学』
デーヴ・グロスマン(レンジャー部隊、心理学、歴史学)
二見書房(2008)


兵士と戦場心理と、暴力メディアの悪影響を知る。ちと分厚い。

戦争を防ぐにはどうすべきか。
政治学者ブラッドリー・R・ギッツは、
民主主義国家同士は戦争しないという。
民主国家こそが世界から戦争を減らす可能性を持っている。

恐怖は戦いに備えた状態。
恐怖で増えるコルチゾールは、血液の凝固速度を増すのである。

戦場の爆風と衝撃による反応。
第二次大戦のアメリカ兵の1/4は尿失禁、1/8は大失禁の経験があった。
しかもこれは申告数で、実数はもっと多い。
また9・11テロの生存者の大半は大小失禁を経験しているという。

戦場ではストレスで行動が自動化してしまう。
救急の911でなく番号案内の411にかけた警官。
いつもその番号にかけていたので、
その番号にしかかけられなかったのである。

戦場では74%が自動的に行動し、意識的に行動できない。
空薬莢がポケットに入っていた警官。
薬莢を地面に捨てない練習のくせが出て、
いちいち薬莢を手で回収していたのだ。

そのため訓練では実戦と全く同じ行動で練習しなければならない。
例えば警察官は「銃を捨てろ」でなく「武器を捨てろ」と練習をする。
相手が包丁でも「銃を捨てろ」と言ってしまうのだ。
また訓練といえど撃たれても止めにしてはいけない。
心臓が止まってもその後5-7秒は命があるので戦うべきなのだ。

また人は2リットルの血液を失うまで動くことができる。
訓練では、2リットルを水をぶちまけて、その量を確認し、
自分の耐えられる量を知っておくという。

戦場のストレスによる知覚の変化。
銃撃戦で8割の警官は銃声が小さく感じた。しかも耳鳴りもしないのだ。
8割はトンネル視野を経験した。
筒を除くような視野となり、
犯人の銃を持つ手の指輪のみが見えたりするのだ。

警官の明晰視現象とは動きがゆっくりに見えること。
65%が経験しているという。
記憶が一部ないのは47%。
距離感の歪みを感じることもある。

現場で落ち着く方法。戦術的呼吸法。
腹式呼吸を三回する。
4つ数を数えながらゆっくり息を吸う。
止めて4つ数える。
4つ数を数えながら息を吐く。
なぜかこれは胸焼けにも効くらしい。

戦場には英雄がいる。
第二次大戦の空中戦では、上位100人のパイロットが14000機を撃墜した。
あるいは1500人のドイツ兵を一人でくい止めたジーノ・メルリ。
戦場で活躍するのはごく一部の兵士だけであり、
あとはただのデクノボウである。

古代ギリシアの指揮官の言葉。
100人の兵士がいれば、10人は足手まといであり、80人はただの標的。
9人はまともな兵士で実際に戦争し、
1人は戦士で、他の者を助けて帰ってくるという。

戦争は激しい罪悪感をともなう。
相手を殺すと嘔吐する兵士は多い。
眼球叩きとは、死体の銃口で目をつつくこと。
生きていれば我慢できないからだ。
これまた不気味で辛い作業である。

戦場から帰った兵士にはケアが必要だ。
帰ってきた兵士には心配していたこと、
無事で嬉しいことを伝えることが大切。

軍隊には事後報告会が必要だ。
記憶と感情を切り離し別々に分けるのだ。

眼球運動による脱感作と再処理法、EMDR。
問題場面を想起しながら動く光を目で追う。
そのとき何を感じたか報告する。
こうするだけでストレスが軽減するのだ。

視線を動かすと感情を抑えることができる。
感情には特定の目の動きがある。
動く光を目で追うのは自動的な反応なので、強制的に感情に干渉できる。
こうして辛い感情をともなった記憶を、
感情の重みを弱いものへと置き換えることができるのだ。

この本は大きく二つの内容に分かれていて、
一つは戦場心理であり、もう一つは暴力メディアの影響である。

殺人事件の件数は本当はもっと多いと見なければならない。
外傷治療技術の進歩がなければ3-4倍になったという。
暴力犯罪では殺人未遂を数えるべきなのである。
そうすればアメリカでいかに暴力犯罪が増えているかがわかるのである。

ちなみに日本の殺人事件統計はちゃんと未遂を含んでいる。
未遂が殺人に入るのが不思議だったが、
こうして考えてみると正しい数え方だとわかる。
そして日本の殺人数は去年戦後最低を記録した。
まさに日本ほど安全な国はないのだ。

ニンテンドーのシューティングゲーム、ダックハント。
アメリカ陸軍が購入し、多目的戦闘シミュレーターに改変して使用した。
ゲームは戦闘訓練に使えるのだ。

その真価を示した少年殺人犯。
ケンタッキー州パデューカの14歳のマイクル・カーニアル。
8発8中にして、5発は頭部、3発も上半身に命中させた。

学校発砲事件の犯人全員がメディアの暴力描写に耽溺していた。
また規律の厳しい団体活動を嫌っていた。

アメリカの2002年の暴力犯罪の発生率は1957年の5倍に増加している。
2000年7月、アメリカの医師、小児科医、心理学者、
児童精神科医らは宣言した。
ゆうに一千を超す研究によって示されるとおり、
メディアの暴力と一部の児童の攻撃的行動のあいだには
因果関係があると。
もはや証拠は大量にあるのだ。

特に2001年のスタンフォード大学の、
テレビと暴力の実証研究が強力である。

それでも無関係と主張する人はいる。
ゲームが無害と主張する心理学者のジョナサン・フリードマンは、
ハリウッドから研究資金を受け取っている。

暴力的であるとしてディズニーをボイコットした南部バプテスト協会。
大きな効果があったがメディアは報道しなかった。
メディアは自分に都合の悪い事実は報道しないのである。
さらにときに、観客が求めるから作るのだと言い訳する。
著者はこれを麻薬ディーラーの理屈だと切って捨てる。

日本でもこの問題は錯綜している。
暴力メディアの影響を否定する人たちに多く見られる勘違いは、
主に3つに分けられる。

1.社会事象はほとんどが相互因果であること
メディアと暴力の因果関係を、
メディア⇒暴力でなく、暴力⇒メディアとするケース。
メディアの暴力が社会の暴力を増やすのではなく、
社会に暴力が蔓延しているからメディアも暴力的なものが増えるという。
これは社会事象のほとんどが、
相互因果であることを理解しない誤りである。
実際にはその双方向の因果があって相乗的に増えるのだ。
これは一部の学者に見られる。

2.否定は反対意見の肯定ではないこと
暴力メディアと攻撃行動の関係についての研究を検証し、
その杜撰さを指摘して、暴力メディアの影響を否定するケース。
しかし否定は反対意見の肯定ではなく、すべての研究を否定しても
暴力メディアの影響を否定したことにはならないのだ。
自分の専門外について学者が語るとよくこういう間違いをする。

3.集団は個人と異なること
自分の経験を思い出し、自分はたくさん見たけども影響していない、
そんな影響があるはずがないというもの。
人間の多様性を無視した誤謬である。
100人中に1人、2人でも影響を受ける人がいれば、
集団に対するルールとして必要が生まれるのだ。
これは全くの素人に多い間違いである。

ちなみに、暴力映像を見ることでガス抜きになるとか、
カタルシスとなって暴力行動が減るということは、
研究からは全く支持されていない。

・今日の四言
民主主義国家同士は戦争しない。(政治学者)
Democratic nation does not go to war against another democratic nation.(political scientist)
민주주의국가 사이에서는 전쟁하지 않는다. (정치학자)
民主主义国家之间没有战争。(政治学家)

心臓が止まってもその後5秒は戦うことができる。
Even if your heart stops, you can fight enemies for 5 seconds.
심장이 멈추어도 그 후 5초는 싸울 수 있다.
心脏停止后5秒钟以内,人还能战斗。

メディアの暴力と一部の児童の攻撃的行動のあいだには因果関係がある。
There is a cause-and-effect relationship between violence programs and the offensive behavior of some children.
미디어의 폭력과 일부 아동의 공격적 행동에는 인과관계가 있다. (심리학자)
媒体的暴力表现和一部分儿童的攻击性行动有密切的因果关系。

"観客が求めるから作る"なんて麻薬売人の理屈と同じだ。
"Because it's requested by audience, so I make it." It's quite same as the logic of dope pushers.
관객이 바라기 때문에 만든다니 마약 판매인의 핑계와 똑같다.
因为观众要求所以我们做那种节目,这和毒枭的道理一样。

戦争する脳-破局への病理(平凡社新書) [本(軍事]

『戦争する脳/計見一雄/平凡社新書/2007』
著者:救急精神医学、精神科医
評価:指導者や兵士の戦争をめぐる思考法を知る良書

戦前日本と米軍を比べている。
湾岸戦争は満州事変、イラク戦争は支那事変に似ているという。
後者はまさに泥沼の戦いである。

あまりにナイーブなアメリカの首脳陣。
イラク統治のため、バース党の首脳陣を入れ替えて再起用の策が出るも、
あまりにマキャベリックと拒絶されたという。
またサダムの旧情報機関員を買収する策も、
汚いからの拒否されたという。
まさに兵法知らぬ原始的な人々である。

兵士の士気は日常生活から。
整備されたトイレの有無が兵士の士気に影響するという。
栗林中将は、台所のすきま風の防ぎ方を悩み続けた。
精神の安定した人は、目に見えるものに悩むのである。

フォークランド紛争。
エグゾセによるシェフィールド撃沈の原因。
フライを作っていたため油が引火したのかもしれないらしい。

戦場の兵士の心理学。
新兵の初期訓練では、
過呼吸症候群やパニック症候群になる人が続発する。
PTSDになるのは、戦場に行く前は9%、戦闘後17%である。
一般成人の罹患率は3-4%である。
ただし精神疾患になった人でメンタル・ケアを求めたのは23-40%。
みな病気であることを認めたがらないのだ。
だから兵士には次のように言わねばならない。
"病気でも卑怯者でもなく疲れただけだから休めば回復するよ"

人間の精神は長期の緊張に耐えられない。
一つの中隊が連続して戦い続ける限界は90日らしい。
また眠らない脳は駄目になる。
人間は48時間眠らないと幻覚が出るのだ。

『戦争の経済学/ポール・ポースト/バジリコ/2007』
著者:経済学、国際関係論
評価:教科書

どんなとき戦争が儲かるか。
低い経済成長、遊休資源が多い、巨額の政府支出が続くこと。
自国は戦場にならない、期間は短い、資金調達に節度があること。
簡単に言うと不景気のときに外国へ戦争しに行くと、
失業者を雇用できて儲かる可能性があるわけだ。

世界で生産されるカラシニコフAK-47。
1949年より0.7-1.5億丁生産された。
1分650発打つことができ、信頼性が高く、値段が安いため。

自爆テロの報酬。
イスラム過激派の自爆テロの実行犯の家族に、
1万ドル~2.5万ドル出ているという。

北朝鮮とパキスタンの関係。
イラン・イラク戦争で北朝鮮とパキスタンがイランを支援。
これが両国の武器取引に発展したらしい。

・今日の一言
正気の人は日常の些事に悩み、狂気の人は国家の大事に悩む。
A sane person is worried about daily trivialities, but an insane person suffers from matters of national importance.
정상적인 사람은 일상의 사소한 일에 고민하고, 미친 사람은 국가의 대사에 괴로워한다.
精神正常的人为日常的琐事烦恼,发疯的人为国家的大事苦恼。

補給戦-何が勝敗を決定するのか(中公文庫BIBLIO) [本(軍事]

『補給戦』
マーチン・ファン クレフェルト(歴史学)
中公文庫BIBLIO(2006)


軍隊とは食料を食べ歩く集団である。
戦争の実態を知る良書。

17世紀初のヨーロッパの軍隊は余分なものがいっぱいついている。
軍隊の50-150%に相当する女子供、召使い、商人を従えるのだ。

18世紀の戦争は君主の個人的争い。
敵国内で兵士を維持して食を奪うのが目的である。

軍隊は食べるために常に移動しなければならない。
ある場所に停止すると、すぐに食料がなくなってしまうのだ。
動きながら、周辺の食料を食べ尽くしながら移動するのが軍隊である。

最初に不足するのは馬の飼料である。

食料の輸送は船が有利。
600台の荷馬車で200t小麦粉を運ぶが、
9隻の船で200t小麦粉600t飼料が運べるのだ。
軍隊は食べるために移動しなければならない

17世紀、軍隊の補給を断つことは不可能だった。
だから、根拠地との連絡は考慮不要だった。
大事なのは河川沿いを移動することである。

包囲攻城を補給できるのは水路のみ。
補給制度の目的は包囲攻撃軍の維持。
移動する限り補給は不要なのだ。

1870-71年のドイツの作戦の成功は、
フランスが農業大国で実り豊かな季節に戦ったこと。
戦場に食料がなければ戦争は維持できないのだ。

ドイツの名将ロンメル。
ロンメルの補給困難は、北アフリカの港湾能力の低さと、
アフリカ内陸地域の輸送距離の長さに起因した。
ロンメルは戦術的天才だが戦略的には誤りだったとしている。

ナポレオン
決定的な場所に最大の兵力を集中させる方法を知っている者が勝利する。
これは孫子にも通じる考え方だ。

著者は不可測なものの重要性を述べる。
ノルマンディ上陸作戦では、兵站の計算を無視して勝利できたのだ。
戦争はまさに生き物である。

また戦争論のクラウゼヴィッツの有名な言葉、
"戦争は政治の延長"を批判する。
戦争の目的は政治だけではないのだ。
正義、生存、名誉のための戦いが無数にあることを指摘している。

戦争の仕事の90%は兵站。
兵站術とは人間に必要な一日3000kcalを補給できるかどうか。
戦争のプロは兵站を語り戦争の素人は戦略を語るという。

チュレンヌ
一つの軍は5万を越えるべきではない。
5万人以上の軍隊が一ヵ所に集中しても、指揮が混乱するだけである。

モルトケの戦略の秘訣
個々に進撃し戦う時に一体になること。

これらで思い出すのは光武帝の言葉である。
光武帝には兵站に関する発言が多いのだ。
光武帝は常に敵の食料を計算して戦うのである。

光武帝やその諸将は常に相手よりも少ない兵力で敵国に侵入し、
数ヶ月から数年に及ぶ持久戦に持ち込んで、
相手の食料が不足するところを打ち破った。

また同一の指揮系統下に、
5万を超える軍勢を揃えることはほとんどなかった。

光武帝の諸将は自由に進軍することが容認されており、
分離と集合が自由自在であり、
光武帝の合図とともに集合して一体に戦うこともあった。
光武帝とその諸将の用兵の巧みさは驚くべきものがあるといえる。

・今日の一言
戦争のプロは兵站を語り戦争の素人は戦略を語る。
A professional of war tells logistics, but an amateur of war tells strategy.
전쟁의 프로페셔널은 병참을 말하지만, 전쟁의 아마추어는 전략을 말한다.
战争的专家谈兵站,战争的外行谈战略。

新版 雑兵たちの戦場-中世の傭兵と奴隷狩り(朝日選書) [本(軍事]

『新版 雑兵たちの戦場/藤木久志/朝日選書/2005』
著者:日本中世史
評価:日本中世の戦争の実態を知る・略奪合戦の歴史

兵農分離を今までと逆に解釈。
いつから兵だけで食えるようになったかでなく、
いつから農だけで食えるようになったかと考える。
純粋な農民で食えるようになったから兵農分離できたのだ。

戦場での自由な乱取りは恩賞のない雑兵の士気を高める大切な機会。
雑兵にとって、戦争の目的は戦場での略奪と奴隷狩りなのだ。

当時の手紙に、人をさらって郷里への土産にする武士と、
家族も奴隷を心待ちにする様子が記録される。
本来殺す相手を殺さないのだから、
倒した相手を身ぐるみ剥いで連れて帰るのは
優しい行為とすら認識していた。

出征の季節は晩秋から春。
戦いには季節性がある。
早春から初夏の端境期には食料が欠乏し、死亡者が集中する。
戦争は飢え死にを防ぐための人減らしであり、
食糧確保のためでもあった。

この日本の戦争での人間と物資の略奪を見ると、
日本の将棋の駒の名前がなぜ宝石財宝なのかわかった気がする。
チェスや中国将棋では、取った駒は二度と使えない。
殺し合いの戦争だから、殺したら世界から消えるのだ。
しかし、日本将棋では駒を取ってまた使う。
駒の名前も、金銀や桂香玉のような宝石である。
日本将棋は、物資の分捕り合戦を示しているのだ。
だから、取ったらまた使えるのは当然である。

おそらく温暖湿潤な日本の気候では、戦争による飢饉でも、
山林へ逃げ込むことで、飢饉の程度が中国よりましだったのではないか。
中国の戦争では捕虜が数十万単位で殺戮されることが多い。
食料が不足して養うことができないからだ。
黄河や河川の灌漑施設に依存する中国では、
政権の崩壊と戦争による食料生産の低下が激しすぎるため、
捕虜を取っても養うことができないのだろう。

・今日の一言
兵士たちは奴隷狩りのために戦う。
Soldiers fight for slave hunting.
병사들은 노예사냥을 위해서 싸운다.
士兵为了狩猎奴隶打战。

私は「蟻の兵隊」だった-中国に残された日本兵(岩波ジュニア新書) [本(軍事]

『私は「蟻の兵隊」だった/奥村和一・酒井誠/岩波ジュニア新書/2006』
著者:山西残留問題の調査究明、業界紙新聞記者
評価:旧日本軍の混乱と戦後の実情を知る良書

肝試しとは、初年兵教育として中国人を刺殺すること。
こうして、人を殺せるようになるわけだ。

上官が恩を売る姑息な技法。
抜き打ち検査があった。何と乾パンがない。
連帯責任で、全員が殴られる。
その後、上官が"見つけたぞ、もう無くすなよ"といって手渡す。
ところが実はこの上官が隠していたのである。
靴や帽子でも、同じようなことが起こったらしい。
恩を着せるためとはいえ、実に姑息な技である。

兵士が死ぬのはほとんど結核らしい。
あらゆる時代において、兵士が戦場で戦死することは珍しい。
ほとんどの兵士は病死か飢え死にするのである。

中国で捕虜になると、
講話という政治教育がある。指導員の話を聞くという。
また相互批判もする。
さらに教育の方法としての坦白、
戦場で何をしたか具体的に告白するらしい。
こうしてみると素朴な技法で案外たいしたものはない。
とても洗脳だとか言えるようなレベルではないようだ。

著者は、帝国陸軍日本兵士であったが、
中国国民党日本人特務団兵士となり、中国人民解放軍捕虜となった。
復員するまでの軍籍を認めよというのが著者の主張。
対して、文書の命令書がないと命令ではなく自願とする国側。
天皇陛下のために戦い続けたのに、逃亡兵と呼ばれる腹立たしさのため
恩給問題として裁判をしているらしい。

かつての戦場では、
奥村氏と実際に向かい合って銃を撃ち合った相手と再会する。
戦場の記憶が一致したという。
驚くべき体験である。
その他、戦場での生々しい体験談も衝撃的である。

『日本兵捕虜は何をしゃべったか/山本武利/文春新書/2001』
著者:マスコミ論、情報史
評価:旧日本軍の情報管理のずさんさがわかる

捕虜は本名を名乗らない。
そのため、俳優の長谷川一夫が大量にいたこともあるという。
本名が日本に伝わるのを恐れているのだ。
そのため、本名を日本に伝えると脅すと効果的であったという。

捕虜は一日二日たつと喋り出す。
拷問されず待遇が良いのに驚き感謝するのだ。
十日以上たつと慣れてくるので内容もでたらめになるらしい。

『戦争犯罪の構造/田中利幸,編/大月書店/2007』
著者:広島平和研究所所長
評価:資料・分析データは面白いがその位置づけに問題あり

学術レベルでは標準の歴史分析が
なぜ大衆レベルで標準にならないのかとの疑問が冒頭に語られる。
戦時における憎悪と軍暴力という普遍的な枠組みで検討するという。

日露戦争以後におかしくなったという司馬史観の誤り。
日本軍は日清日露戦争の頃から戦場で虐殺を行っていた。
正しい。中世的軍隊の特性をそのまま引きずっていたのである。

疑問点。
中国側のいう三光作戦と
日本側の殲滅掃討作戦は同じでいいのか疑問を感じる。
またそれをドイツのアウシュビッツと同じに見るのも異常である。

奇怪な言葉も多い。
拉致問題支援者はなぜ戦前戦中の強制連行の苦悩を考えないのかという。
全く別問題だから当然ではないか。

若者の殺人と暴力行為が頻繁なほど日本社会は閉塞したのかと問う。
全くの事実誤認であり問題外である。

冒頭の問いが、全くいかされていない本である。
"戦時における憎悪と軍暴力という普遍的な枠組みで検討"など
全くなされていない。

戦争とは何かを理解せず、ただ日本軍の戦争を研究するからだ。
軍隊が戦場でどのように振る舞うものなのか、
世界中の戦争を研究し、比較するべきである。

事象を分析するには、
(a).その出来事を描写して客観と主観を入れ替える
(b).過去の出来事から一貫性を読みとる
(c).類似する例を比較して共通性を読みとる
(d).内部の構造から必然的なシステムを取り出す
(e).未来を推定しその分析の持つ力を確認する

(a)~(e)の5つが必要だが、
この本で採用されているのは(a)、(b)、(d)の3つであり、
(c)と(e)が欠けている。
だから何がおかしいのか見えないのである。

・今日の一言
我々は逃亡兵ではない。
We are not deserters.
우리들은 탈영병이 아니다.
我们不是逃兵。

戦争における「人殺し」の心理学 [本(軍事]

『戦争における「人殺し」の心理学/デーヴ・グロスマン/ちくま学芸文庫/2004』
著者:陸軍、心理学、歴史学
評価:戦場の真実を知る名著・これを読まずして戦争を語るなかれ

第二次大戦のアメリカのライフル銃兵の発砲率は15-20%だった。
敵が前にいるのに、ほとんどの兵士は撃つ以外の仕事をしようとする。
人は人を殺すのに激しい抵抗感があるのだ。
それが朝鮮戦争では発砲率55%となり、
ベトナム戦争では90-95%にまで上昇する。

これは3種類の殺傷率を上げる訓練を行ったため。
脱感作、条件づけ、否認防衛機制である。
シミュレーションで慣れることで脱感作し、
反射的な早撃ちの能力を養う条件づけを行い、
人を的と思い、殺して当然と思う否認防衛機制を作る。
これがベトナム戦争までに完成された訓練法である。

この訓練法と同じことがテレビやゲームで行われている。
テレビゲームは一般に、
試行錯誤や系統的な問題解決能力を高め、
計画や位置把握を学ぶことができる。
問題は、手に武器を持ち人間型の標的に発砲するゲーム。
これがアメリカの加重暴行事件の発生率、
1957年以降の急上昇に関連するという。
銃の特徴は離れたところから一瞬で殺せること。
殺人の反射を覚えてしまうため危険なのだ。
それでもテレビの影響力はないとテレビ局は主張するという。
しかし、なければスポンサーがつくはずがない、
というのがわかりやすい反論である。

アレクサンダー大王の兵士の戦場での損失は生涯に700人。
負けなかったからだ。戦場では勝者にはほとんど損害が出ない。
ただし、戦病死は相当な数にのぼるので誤解しないように。

接近戦ではほとんどの兵士が敵を殺さない。
白兵戦など戦場には存在しない。
ただ背を向けた者を斬る場面があるだけである。

第二次大戦、撃墜された敵機の30-40%は、
味方の1%未満のパイロットが撃墜していた。
敵を殺すのはごく一部の人間が行うのである。

中世や古代の戦争もどんなものか想像できるだろう。
古来より白兵戦での死傷者というのは多くない。
戦場の主要な武器は弓矢であった。
ほとんどの兵士は戦場に出ても人を殺すことはない。
兵士は人を殺す経験はしないのだ。
一部の人たちが大量に殺すのである。
勝利側の兵士なら、ただ戦場に到着してわけもわからず弓矢を放ち、
みんなについて動くだけである。
敗北側の兵士も同じで、ただ弓矢を放ち、
負けて逃げるときに斬り殺されるだけである。

歴史上の豪傑たちがときに数百人も殺害したと記録されるのも、
ほとんどの兵士は敵に面と向かうと刀を奮うことなどできず、
豪傑に一喝され逃げまどうなかを斬られていくだけだからである。

戦場での心理的なスタミナは有限である。
ナポレオンは勝利の直後が最も危険とした。
副交感神経の揺り戻しが起こり、猛烈な睡魔に襲われるためだ。
副交感神経の揺り戻しを遅らせるため、
敵との接触を出来るだけ長く保つための追撃が不可欠。
そして、背を向けた敵を追撃するとき相手に大量の死者が出る。

これこそ、兵法でいう"勢い"いうものである。
勢い=気とは、生物学的な構造によるのである。
こうした兵士の気の上がり下がりを理解するものが名将である。

戦闘中の兵士たちのきずなは夫婦より強いという。
中国史では、家臣を粛清しなかった皇帝が三人いる。
後漢光武帝、唐太宗、宋太祖である。
この三人の共通点は戦場で戦う戦士であり、
部下は共に馬を並べた戦友であったことだ。
お互いに命を預け合ったものの結束の固さ故である。

・今日の一言
ほとんどの兵士は人を殺さず、ただ殺されるだけである。
Most soldiers can't kill anyone, they are only killed.
대부분의 병사는 사람을 죽일 수 없고, 단지 죽음을 당하는 것 뿐이다.
大部分的士兵不会杀人,只是被人杀。

飛び道具の人類史 [本(軍事]

『飛び道具の人類史』
アルフレッド・W・クロスビー(歴史学者)
紀伊國屋書店(2006)


槍投げ、弓、鉄砲、大砲、ロケットの歴史。

世界初のロケット花火は、1164年。
地老鼠、火老鼠とも呼ばれ後方に炎を出して地上を走り回った。
ねずみ花火である。
大騒ぎになり中国皇帝は楽しめなかったらしい。

宇宙船ミールに四ヶ月半滞在した宇宙飛行士は、
筋肉量の40%・骨の12%・体重が10kg減ったという。

・今日の一言
ねずみ花火は1164年に発明された。
Pinwheel fireworks were invented in 1164.
쥐불꽃은 1164년에 발명되었다.
地老鼠焰火在1164年发明了。

英仏百年戦争(集英社新書) [本(軍事]

『英仏百年戦争/佐藤賢一/集英社新書/2003』
著者:作家
評価:わかりやすく面白い名著

1066年ノルマン朝の成立とは、
フランスの第六代ノルマンディ公ギョーム二世が、
イングランドを植民地化したということ。
中世にイングランドという国はないのだ。

しかしまた、フランスもまたフランスという国があるとはいえない。
複雑な主従関係の無数の領地の集合体があるだけなのだ。

そして英語しか話さないヘンリー五世
イングランド人として即位した最初のイングランド王の登場により、
イングランドが生まれたといえる。

対するフランスでのジャンヌ・ダルクの登場。
これはフランスに登場したナショナリズムを示すという。

『ダルタニャンの生涯/佐藤賢一/岩波新書/2002』
著者:作家
評価:史実のダルタニャンを探る

ダルタニャンは3段階で変化した。
史実の銃士、
クールティ・ドゥ・サンドラスの銃士、
デュマの銃士である。

・今日の一言。
近代までナショナリズムはなかった。
There was no nationalism until modern times.
근대까지 내셔널리즘은 없었다.
近代以前没有民族主义。

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